猫がふみふみする理由は?6つの心理、状況別の意味、オス特有の行動まで徹底解説

あなたの愛猫も、毛布やあなたの膝の上で前足を交互に「ふみふみ」することはありませんか?「ふみふみするのはなぜだろう?」と、その可愛らしい仕草の理由が気になっている飼い主さんは多いのではないでしょうか。もしかしたら、何かを訴えているのか、それともただの癖なのか、疑問に思うこともあるでしょう。
この記事では、猫がふみふみする6つの心理や本能、状況別の意味、オス猫特有の行動、さらにはふみふみされた時の正しい対応や注意すべきサイン、よくある疑問まで、飼い主さんが知りたい情報を徹底的に解説します。
読み終える頃には、愛猫のふみふみに隠された深い理由と気持ちが分かり、その行動がもっと愛おしく感じられるはず。さあ、一緒に愛猫の心を探り、絆をさらに深めていきましょう。

まずは結論:
猫がふみふみするのは「子猫時代の名残」と「愛情表現」が主な理由

愛猫がみせる可愛らしい「ふみふみ」という仕草。その行動には、猫の心の中に秘められたいくつかの大切な意味合いが隠されています。多くの猫でみられるこの行動は、主にふたつの理由から来ていると考えられます。ひとつは、子猫だったころの本能的な記憶から。もうひとつは、あなたへの深い愛情を示すサインなのです。これから、その理由をさらにくわしく見ていきましょう。この行動の背景にある猫の気持ちを理解することで、愛猫との絆がいっそう深まるはずです。

母猫のお乳を飲む時の
本能的な行動

猫がふみふみする行動の起源は、子猫が母猫のお乳を飲んでいた時代にさかのぼります。子猫はお乳の出をより良くするために、前足をつかって母猫のお腹をやさしく、そしてリズミカルに押すしぐさをするのです。この行動は、お腹を満たすための大切な本能であり、子猫時代の安心できる記憶と強くむすびついています。成猫になってもこの行動がみられるのは、その時の心地よかった感覚を体が覚えているからだと考えられます。ふみふみは、猫にとって原点ともいえる行動のひとつといえるでしょう。

成猫になっても続く
安心と甘えのサイン

成猫がふみふみをするのは、子猫時代の名残だけではありません。その行動は、「いま、とても安心しているよ」「甘えたい気分だよ」という気持ちの表れでもあります。飼い主さんのひざの上や、柔らかい毛布の上など、猫が心からリラックスできる場所でふみふみすることが多いのは、そのためです。この行動を通じて、猫は子猫時代のような満たされた幸福感を再び体験しているのかもしれません。飼い主さんへの深い信頼と、心地よい環境への満足感を示す、愛らしいサインなのです。

猫の「ふみふみ」って
どんな行動?基本をおさらい

猫が見せる「ふみふみ」は、見ているだけで心が和む、とても愛らしい仕草ですよね。この独特な行動について、まずはその基本的な特徴を確認していきましょう。具体的にどのような動きをするのか、そして海外ではどのように呼ばれているのかについて解説します。

前足で交互にモミモミ、
リズミカルな仕草

猫のふみふみは、両方の前足を交互に、まるで何かを優しく揉むかのように動かすリズミカルな行動が特徴です。猫によっては、うっとりとした表情をしたり、喉をゴロゴロと鳴らしたりしながら行うこともあります。その動きは、まるでパン職人が生地をこねるような、あるいはマッサージ師が優しく揉みほぐすような、独特のリズム感を持っています。この愛らしい仕草は、猫がとてもリラックスしている状態や、甘えたい気持ちの時に見られることが多い行動です。

英語では
「Kneading(ニーディング)」

猫のふみふみ行動は、英語圏では「Kneading(ニーディング)」と呼ばれています。この「Knead」という単語は、パンやピザの生地などを「こねる」という意味を持つ動詞です。猫が前足で交互にふみふみする様子が、パン生地を一生懸命こねている姿に似ていることから、この名前がついたと考えられます。海外の猫好きの間でも、この「Kneading」は猫の愛情表現やリラックスサインとして広く認識されており、その可愛らしい仕草は万国共通で人々を魅了しています。

参照した情報:

【理由別】
猫がふみふみする6つの心理・本能を深掘り

猫がみせる愛らしい「ふみふみ」には、実はさまざまな気持ちや本能が隠されています。単に可愛いだけではない、その行動の背景にある猫の心理状態や、祖先から受け継いできた本能について、6つの理由からさらにくわしく探っていきましょう。これらの理由を知ることで、愛猫の行動が示すサインをより深く理解できるようになるでしょう。猫の心の世界をのぞいてみませんか。

理由1:子猫気分で甘えたい
(母猫を思い出す)

猫がふみふみする最も基本的な理由のひとつは、子猫時代の記憶にあります。母猫のお腹をふみふみしながらお乳を飲んでいた、あの温かく安心できる感覚を無意識に求めているのです。飼い主さんや柔らかい毛布など、安心できる対象に対してふみふみするのは、まるで自分がまだ小さな子猫であるかのように感じ、甘えたいという気持ちの表れといえるでしょう。この行動は、猫が心を開いている証拠でもあります。

理由2:最高にリラックス!
安心しているサイン

猫がふみふみしている時は、心から安心しきって、とてもリラックスしている状態にあることを示しています。安全で心地よい環境にいると感じている時に、この行動は自然とあらわれるのです。たとえば、日当たりの良い場所でくつろいでいる時や、飼い主さんのそばで安心しきっている時などによく見られます。ゴロゴロと喉を鳴らしながらふみふみしているなら、それは猫にとって至福の瞬間といって間違いありません。

理由3:「大好き!」
飼い主への愛情表現・信頼の証

猫が飼い主さんの体の上でふみふみするのは、飼い主さんに対する深い愛情と信頼の証です。まるで「あなたが大好きだよ」「そばにいると安心するよ」と伝えているかのような行動といえるでしょう。飼い主さんを母猫のように慕い、子猫のように甘えたいという気持ちが、このふみふみという形で表現されるのです。愛猫がふみふみしてくれたら、それは飼い主さんとの間に強い絆があることの証明ともいえます。

理由4:自分の匂いをつける
マーキング行動

猫のふみふみには、自分の縄張りを主張するマーキング行動としての側面もあります。猫の前足の裏、肉球には「臭腺(しゅうせん)」と呼ばれる、においを出す器官が存在します。ふみふみすることで、自分のにおいを対象物につけて「ここは自分の場所だ」とアピールしているのです。これは、他の猫に対して自分の存在を示すための本能的な行動と考えられます。特に新しい毛布やクッションに対して行う場合、この意味合いが強いかもしれません。

理由5:寝心地よく整えたい!
寝床づくりの本能

猫が寝る前に特定の場所でふみふみするのは、快適な寝床をつくるための本能的な行動の名残と考えられます。野生で暮らしていた猫の祖先は、草むらや土の上などで寝る前に、前足で地面を踏み固めたり、草をならしたりして、安全で寝心地の良い場所を確保していました。その習性が、現代の家猫にも受け継がれているのです。ふみふみすることで、寝床を自分好みの柔らかさや形に整えているのかもしれません。

理由6:かまってほしい?
要求やアピールの場合も

猫のふみふみは、必ずしもリラックスや愛情表現だけが理由ではありません。時には、飼い主さんにかまってほしい、何かをしてほしいという要求やアピールとして、この行動をとることもあります。たとえば、お腹が空いた時や、遊びたい気分の時に、飼い主さんの注意を引くためにふみふみすることが考えられるのです。もし愛猫が何かを訴えるような目で見ながらふみふみしてきたら、何か要求があるのかもしれないと考えてみましょう。

いつ、どこで、何にする?
状況・対象で変わるふみふみの意味

猫のふみふみは、その時の状況や、何に対して行っているかによって、少しずつ意味合いが変わってくることがあります。愛猫がどんな時に、どこで、何にふみふみしているかを観察することで、その時の気持ちをより正確に読み取ることができるでしょう。ここでは、いくつかの代表的な状況と対象別に、ふみふみが持つ可能性のある意味について解説します。

毛布やクッションの上:
安心感の表れ、寝床の準備

猫が毛布やクッションといった柔らかい素材の上でふみふみするのは、子猫時代に母猫のお腹にいた時のような安心感を求めている、あるいは寝床を心地よく整えようとしている可能性が高いです。柔らかくて暖かい感触が、猫に安心感と心地よさを与えるのでしょう。特に新しい毛布などを与えた時に念入りにふみふみする場合は、自分の匂いをつけるマーキングの意味合いも含まれているかもしれません。リラックスしている証拠といえます。

飼い主のお腹や腕の上:
最大の甘え、深い信頼

猫が飼い主さんのお腹や腕、ひざの上などでふみふみするのは、飼い主さんに対して最大限に甘えたい気持ちと、深い信頼を寄せていることの表れです。飼い主さんを母猫のように慕い、絶対的な安心感を抱いているからこそ見せる行動といえるでしょう。少し爪が当たって痛いと感じることもあるかもしれませんが、愛猫からの最上級の愛情表現として、できる限り受け止めてあげたいものです。とても幸せを感じているサインです。

寝る前やリラックスタイム:
入眠儀式、心地よさの表現

猫がうとうとと眠りにつく前や、のんびりとくつろいでいる時にふみふみするのは、一種の入眠儀式のようなもの、あるいは現在の心地よさを表現していると考えられます。ふみふみすることで、さらにリラックス状態を高め、安心して眠りにつく準備をしているのかもしれません。また、満足感や幸福感を体全体で表現する方法として、この行動が出ている可能性もあります。とても穏やかで満たされた気持ちの時によく見られます。

同居猫や犬に対して:
親愛の情、順位付けの可能性も

猫が一緒に暮らす他の猫や、場合によっては犬に対してふみふみすることがあります。この行動は、相手に対する親愛の情を示している場合もあれば、自分が相手より優位な立場であることを示すマーキング行動(順位付け)の可能性も考えられます。相手の猫や犬が受け入れているようであれば、仲が良い証拠と捉えることもできます。しかし、相手が嫌がっている様子なら、関係性を見直す必要があるかもしれません。状況をよく観察しましょう。

【ゴロゴロ】
ふみふみとセットで見られる行動から気持ちを読む

猫がふみふみする時、その行動と同時に見せる他の仕草にも注目してみましょう。喉を鳴らす音、しっぽの動き、目の表情など、ふみふみとセットで見られる行動は、その時の猫の気持ちをより深く理解するための大切な手がかりとなります。これらのサインを読み解くことで、愛猫が何を感じているのか、より具体的に察することができるでしょう。ここでは代表的な組み合わせとその意味をご紹介します。

ふみふみ+ゴロゴロ音:
最高の幸せ・リラックス状態

猫がふみふみしながら喉を「ゴロゴロ」と鳴らしているなら、それは猫が感じている最高の幸せとリラックス状態を示しています。ゴロゴロ音は、子猫が母猫に甘える時や、満足している時に出す音として知られています。ふみふみという安心行動とゴロゴロ音が組み合わさることで、「今、とっても幸せで安心しているよ」という気持ちを最大限に表現している状態といえるでしょう。飼い主さんにとっても、この上なく嬉しい瞬間ですね。

ふみふみ+しっぽをゆっくり振る:
ご機嫌・満足のサイン

ふみふみしている時に、猫がしっぽをゆらりゆらりとゆっくり大きく振っている場合、それは猫がとてもご機嫌で、満たされている気持ちのサインと考えられます。猫のしっぽの動きは感情を表しますが、このように穏やかでリズミカルな動きは、基本的にポジティブな感情を示しています。ふみふみの心地よさに加えて、現状に満足している様子がうかがえます。ただし、しっぽを激しくパタパタと振る場合は、少しイライラしている可能性もあるので注意が必要です。

ふみふみ+うっとりした目:
安心しきっている証拠

目を細めて、まるでとろけるようなうっとりとした表情でふみふみしている猫は、飼い主さんやその環境に対して完全に心を許し、安心しきっている証拠です。警戒心が強い猫は、リラックスしている時でも完全に目を閉じることは少ないですが、目を細めてうっとりするのは、無防備になれるほど安心している状態を示します。飼い主さんのそばでこのような表情を見せてくれたなら、深い信頼関係が築けている証といえるでしょう。

成猫やオス猫、
去勢後のふみふみはどう違う?

猫のふみふみ行動は、基本的に子猫時代の名残ですが、猫の年齢や性別、あるいは去勢手術の経験によって、その行動の頻度や意味合いに何か違いはあるのでしょうか。成猫になってもふみふみする理由や、特にオス猫に見られる特徴的な行動、去勢手術後の変化など、飼い主さんが疑問に思うかもしれない点について、これからくわしく解説していきます。

成猫になってもふみふみするのはなぜ?:
子猫時代の名残、精神安定のため

成猫になっても多くの猫がふみふみ行動を続けるのは、子猫時代に母猫のお乳を飲んでいた時の心地よい記憶が深く根付いているからです。それに加えて、成猫にとってふみふみは、ストレスを感じた時や不安な時に心を落ち着かせるための、精神安定行動としての役割も担っていると考えられます。安心できる場所や対象にふみふみすることで、猫は心地よさを感じ、精神的なバランスを保とうとしているのです。

【オス猫】前足だけじゃない?
後ろ足でのふみふみ(腰を振る動き)の意味

オス猫の中には、前足だけでなく、後ろ足を交互に踏みしめるような動きや、それに伴って腰を軽く振るような仕草を見せることがあります。これはメス猫にはあまり見られない、オス猫に特徴的な行動といわれています。この行動には、どのような意味が隠されているのでしょうか。

発情期の行動の名残や
マーキングの可能性

オス猫が後ろ足でふみふみしたり、腰を振ったりする動きは、性的に成熟したオス猫の発情行動(交尾の際の動き)の名残や、より強い縄張り主張(マーキング)の意味合いを持つ可能性があります。特に未去勢のオス猫に見られやすい行動ですが、去勢後も残ることがあります。前足のふみふみと同様に、自分の匂いをつけて安心したい、あるいは自分の存在をアピールしたいという気持ちが隠れていると考えられます。

マウンティング行動との
違い

後ろ足でのふみふみや腰を振る動きは、他の猫や物に対して乗りかかろうとする「マウンティング」行動と混同されることがあります。しかし、マウンティングは通常、相手に覆いかぶさる形で行われますが、後ろ足のふみふみは、必ずしも対象に乗りかからず、毛布やクッションなどを対象に行われることも多い点で異なります。性的な意味合いだけでなく、優位性を示したり、ストレスを発散したりする目的で行われる場合もあります。

【オス猫・去勢後】
去勢手術をしてもふみふみするのはなぜ?:本能行動は残りやすい

去勢手術を受けたオス猫でも、前足でのふみふみはもちろん、場合によっては後ろ足を使ったふみふみ行動が見られることがあります。「去勢したのにどうして?」と不思議に思う飼い主さんもいるかもしれません。これは、性ホルモンの分泌が抑制されても、脳に深く刻まれた本能的な行動パターンは、完全には消えずに残りやすいためと考えられます。特に幼い頃から習慣になっていた行動は、去勢後も継続しやすい傾向があります。

愛猫にふみふみされた時、
飼主はどうすればいい?正しい対応

愛猫が自分のそばに来て、ふみふみし始めたら、飼い主さんはどのように対応するのがよいのでしょうか。猫の気持ちを尊重しつつ、お互いが快適に過ごすためには、いくつかのポイントがあります。ふみふみを受け入れる際の心構えから、具体的な注意点、困った時の対策まで、愛猫とのより良い関係を築くための正しい対応方法について見ていきましょう。

基本的には
優しく受け入れてあげるのがベスト

猫がふみふみするのは、安心感や愛情、リラックスのサインです。そのため、愛猫がふみふみしてきた時は、基本的にはその行動を邪魔せず、優しく受け入れてあげるのが最も良い対応といえます。猫が安心して甘えられる時間と空間を提供することは、飼い主さんとの信頼関係を深める上でとても大切です。無理にやめさせたり、邪険に扱ったりせず、愛猫の気持ちに寄り添ってあげましょう。

【撫でる?】
ふみふみ中に撫でてもOK?タイミングと注意点

愛猫が気持ちよさそうにふみふみしていると、こちらもつい撫でてあげたくなりますよね。しかし、撫でても良いのか、タイミングはどうなのか、迷うこともあるかもしれません。ここでは、ふみふみ中に撫でる際の適切なタイミングと注意点について解説します。

気持ちよさそうな時は
優しく撫でる

愛猫がゴロゴロと喉を鳴らしていたり、うっとりとした表情でリラックスしながらふみふみしている様子が見られたら、優しく撫でてあげるのは良いコミュニケーションになります。背中やお尻のあたりなど、愛猫が喜ぶ場所をそっと撫でることで、さらに安心感を与え、幸せな気持ちを高めてあげられるでしょう。愛情を伝える良い機会にもなります。

集中している時は
邪魔しない方が良い場合も

一方で、猫がふみふみに非常に集中しているように見える時や、少し神経質になっているような場合は、撫でられることでかえって集中を妨げられたと感じ、嫌がる可能性もあります。猫の様子をよく観察し、撫でられるのを望んでいないようであれば、そっと見守ってあげるのが良いでしょう。無理に触ろうとせず、猫のペースを尊重する配慮も大切です。

爪が当たって痛い時の対策

ふみふみは嬉しいけれど、爪が当たって痛い…というのは、飼い主さん共通の悩みかもしれません。特に飼い主さんの体の上でふみふみされると、思わぬ痛みを感じることもあります。ここでは、そのような場合の具体的な対策をいくつかご紹介します。

定期的な爪切りを
習慣に

猫の爪が痛いと感じる最も直接的な原因は、爪が伸びていることです。そのため、定期的に愛猫の爪を切る習慣をつけることが、最も基本的な対策となります。爪の先端の尖った部分を切るだけでも、痛みはかなり軽減されるはずです。爪切りが苦手な場合は、動物病院やトリミングサロンにお願いするのも良いでしょう。こまめなケアが大切です。

厚手の毛布やクッションを
敷いてあげる

飼い主さんのお腹や腕の上など、素肌に近い場所でふみふみされるのが痛い場合は、間に厚手の毛布やフリース素材のブランケット、クッションなどを挟むのも効果的な方法です。柔らかい布一枚があるだけで、爪が直接肌に当たるのを防ぎ、痛みを和らげることができます。愛猫も柔らかい感触を好むことが多いので、一石二鳥かもしれません。

無理にやめさせると逆効果?
ストレスを与えない関わり方

ふみふみ行動は、猫にとって本能的で、安心感を得るための大切な行動です。そのため、痛いからといって無理やりやめさせようとしたり、叱ったりするのは逆効果になる可能性があります。猫はなぜ叱られたのか理解できず、飼い主さんに対して不安や不信感を抱いてしまうかもしれません。ふみふみを中断させたい場合は、おもちゃで気をそらしたり、そっと場所を移動させたりするなど、猫にストレスを与えない方法を試しましょう。

「うちの子はしない…」
ふみふみしない猫がいる理由

「他の家の猫はよくふみふみするのに、うちの子は全然しない…もしかして愛情が足りないの?」と心配になる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、すべての猫がふみふみをするわけではありません。猫がふみふみをしないのにも、いくつかの理由が考えられます。その理由を知ることで、無用な心配から解放されるでしょう。

個体差や性格による違い
(クールな子、自立心が強い子)

猫にも人間と同じように、一匹一匹に個性があり、性格もさまざまです。甘えん坊な子もいれば、比較的クールで自立心が強く、あまりベタベタしない子もいます。ふみふみをしないのは、単にそういった性格だからという場合も多いのです。愛情表現の方法が他の子と違うだけで、飼い主さんへの愛情が薄いわけではありません。その子の個性として受け止めてあげましょう。

母猫から早くに離れた場合
(学習機会がなかった)

子猫がふみふみ行動を覚えるのは、主に母猫のお乳を飲んでいた時期です。そのため、生まれてすぐに母猫や兄弟猫から引き離されてしまった場合、ふみふみ行動を学習する機会がなかったり、甘える対象がいなかったりした経験から、成猫になってもふみふみをしないことがあります。特に保護猫などで、幼い頃の生育環境が不明な場合に考えられる理由のひとつです。

ふみふみしたくなる対象
(柔らかいもの)がない

猫がふみふみをするのは、主に毛布やクッション、飼い主さんの体など、柔らかくて心地よい感触のものに対してです。もし、猫の生活環境の中に、ふみふみしたくなるような魅力的な対象物がない場合、単純に行動のきっかけがないために、ふみふみをしないという可能性もあります。もし愛猫のふみふみを見てみたい場合は、お気に入りの柔らかい毛布を用意してあげると、始めるかもしれません。

しなくても愛情がないわけではない
ことを理解しよう

最も大切なことは、愛猫がふみふみをしないからといって、飼い主さんへの愛情が足りないわけでは決してない、と理解することです。猫の愛情表現は、ふみふみだけではありません。そばに寄ってきたり、体をすり寄せたり、しっぽを立てて出迎えてくれたり、じっと見つめてきたりと、様々な形で示されます。ふみふみ以外の愛猫なりのサインを見つけて、愛情を受け取ってあげましょう。

【要注意】
こんなふみふみは心配?見逃したくないサイン

猫のふみふみは、ほとんどの場合、愛情表現やリラックスのサインであり、心配する必要はありません。しかし、中には注意が必要なケースも存在します。いつもと違う様子や、他の気になる行動が伴う場合は、猫からの何らかのサインかもしれません。ここでは、飼い主さんが見逃したくない、心配なふみふみのサインについて解説します。愛猫の小さな変化に気づけるようにしましょう。

【ストレス?】
急にふみふみの頻度が増えた、または全くしなくなった

ふみふみ行動の頻度が、ある時を境に急に増えたり、逆にぱったりとしなくなったりした場合は、猫が何らかのストレスを感じている、あるいは体調に変化があるサインかもしれません。環境の変化(引っ越し、新しいペットや家族が増えたなど)や、隠れた病気などが原因となっている可能性も考えられます。普段の愛猫の様子をよく知っておき、変化に気づいたら原因を探ってみましょう。

【ウールサッキング】
ふみふみしながら布製品を吸う・噛む・食べてしまう

ふみふみ行動に加えて、毛布やセーターなどの布製品を執拗に吸ったり、噛んだり、場合によっては食べてしまったりする行動が見られることがあります。これは「ウールサッキング」と呼ばれる問題行動の可能性があり、注意が必要です。この行動について、くわしく見ていきましょう。

ウールサッキングとは?
(定義と見分け方)

ウールサッキングとは、猫がウール(羊毛)素材をはじめとする布製品を、まるで母猫のお乳を吸うかのように執拗に吸ったり、噛み続けたり、時には飲み込んでしまったりする異常行動を指します。単に布を口にするだけでなく、長時間にわたって止められない様子が見られるのが特徴です。ふみふみと同時に行うことが多く、特定の素材に執着する傾向があります。見分け方としては、布が濡れていたり、噛み跡が残っていたりしないか確認しましょう。

考えられる原因
(早期離乳、ストレス、栄養不足、遺伝的要因、特定の猫種)

ウールサッキングの原因はひとつではなく、早期離乳による母猫への依存心の名残、強いストレスや不安、特定の栄養素の不足、遺伝的な要因などが複合的に関わっていると考えられます。特に、シャム猫やバーミーズ、トンキニーズといった東洋系の猫種に比較的見られやすい傾向があるともいわれています。原因を特定するのは難しい場合もありますが、考えられる要因を探ることが対策への第一歩となります。

対処法
(誤飲防止、ストレス環境の改善、代替物、獣医師への相談)

ウールサッキングへの対処法としては、まず猫が口にしてしまう対象物を隠したり、猫がアクセスできない場所に片付けたりして、誤飲事故を防ぐことが最も重要です。その上で、ストレスの原因となっている環境要因(騒音、他のペットとの関係など)を見つけて改善を図りましょう。噛んでも安全なおもちゃを与える、食生活を見直すなどの方法もあります。行動が続く場合や、布を食べてしまった場合は、必ず動物病院で獣医師に相談してください。

【長い】
ふみふみが異常なほど長く続く(30分以上など)

猫のふみふみ行動が、30分以上など、通常考えられるよりも異常なほど長く続く場合は、注意が必要かもしれません。これは「常同行動(じょうどうこうどう)」と呼ばれる、同じ行動を目的もなく繰り返し行ってしまう状態の可能性があります。強いストレスや不安、退屈などが原因で起こることがあり、猫が精神的な問題を抱えているサインであることも考えられるため、注意深く様子を観察しましょう。

特定の場所
(飼い主の体の一部など)だけで執拗に行う

特定の毛布やクッション、あるいは飼い主さんの体の一部(腕や服など)といった特定の対象だけに、あまりにもしつこく、長時間にわたってふみふみを続ける場合も、少し気にかけてあげると良いでしょう。対象への過度な依存心や、何らかの不安感から、その行動に執着してしまっている可能性があります。他の行動と合わせて、猫の精神状態を注意深く見てあげることが大切です。

ふみふみ以外の気になる症状
(食欲不振、元気消失、嘔吐など)を伴う場合

ふみふみの頻度の変化や様子の違いに加えて、食欲がない、元気がない、嘔吐や下痢をしている、呼吸が荒いなど、他の体調不良を示す症状が見られる場合は、単なるストレスや行動の問題ではなく、何らかの病気が隠れている可能性があります。このような場合は、様子を見ずにできるだけ早く動物病院を受診し、獣医師の診察を受けるようにしてください。早期発見・早期治療が重要です。

【可哀想?】
ふみふみは寂しさや悲しさの表れではないことがほとんど

ふみふみは母猫を思い出しての行動ですが、それを「可哀想」と感じる必要はあまりありません。多くの場合、ふみふみは寂しさや悲しさの表現ではなく、むしろ子猫時代の温かい記憶からくる安心感や、現在の環境への満足感、飼い主さんへの愛情といったポジティブな感情の表れです。猫が安心しきって甘えている、幸せな瞬間なのだと理解して、温かく見守ってあげるのが良いでしょう。

猫のふみふみに関するQ&A
~飼い主さんの疑問に答えます~

ここでは、猫のふみふみに関して、飼い主さんからよく寄せられる疑問について、Q&A形式でお答えしていきます。愛猫の行動について、さらに理解を深めるための参考にしてください。

Q. ふみふみは母猫を思い出していて「可哀想」な行動なの?

A. いいえ、必ずしも可哀想な行動ではありません。確かに子猫時代の名残ではありますが、それは寂しさや悲しみを表しているのではなく、むしろその時の安心感や幸福感を思い出したり、現在の安心できる状況で自然に出たりする行動です。飼い主さんへの愛情表現であることも多く、ポジティブな意味合いが強いと考えられています。

Q. ふみふみとストレスの関係は?増えることも減ることもある?

A. はい、ストレスはふみふみの頻度に影響を与え、増えることも減ることもあります。猫はストレスを感じると、心を落ち着かせるためにふみふみの頻度が増えることがあります(精神安定行動)。一方で、強いストレスや体調不良により元気がなくなると、ふみふみ自体をしなくなる(頻度が減る)ことも考えられます。急な変化には注意しましょう。

Q. ふみふみが長いのは病気やストレスのサイン?

A. 異常なほど長時間(例えば30分以上など)続く場合は、ストレスや不安による常同行動の可能性も考えられます。しかし、単に気持ちよくて長く続けているだけの個体差もあります。ふみふみの長さだけで判断せず、他に食欲不振や元気消失などの症状がないか、無理に中断させようとすると嫌がるかなど、総合的に見て判断することが大切です。心配な場合は獣医師に相談しましょう。

Q. オス猫が後ろ足でふみふみ(腰振り)するのはやめさせるべき?

A. 基本的に、その行動自体が猫や飼い主さんの生活に支障をきたしていないのであれば、無理にやめさせる必要はありません。発情行動の名残やマーキング、ストレス発散などの意味合いがありますが、本能的な行動の一部です。ただし、過度なマーキング(スプレー行動)につながる、同居猫が嫌がっているなど、問題がある場合は、去勢手術や環境改善について獣医師に相談することをおすすめします。

Q. ふみふみしながらよだれがたくさん出るのは大丈夫?

A. 猫は非常にリラックスしている時に、口元が緩んでよだれが出ることがあります。そのため、ふみふみ中に多少よだれが出るのは、それだけ安心している証拠とも言え、多くの場合心配いりません。ただし、普段に比べて異常に量が多い、口臭が強い、食欲がない、口を痛がるなどの他の症状が見られる場合は、口内炎や歯周病などの病気の可能性もあるため、動物病院で診てもらいましょう。

まとめ:
猫のふみふみは奥深い!理由を理解して愛猫との絆をもっと深めよう

猫の「ふみふみ」行動は、単なる可愛らしい仕草というだけでなく、子猫時代の名残、愛情表現、リラックス、マーキング、寝床づくり、要求など、実にさまざまな理由や心理が隠された奥深い行動です。ふみふみする時の状況や、他の仕草と合わせて観察することで、愛猫が今どんな気持ちでいるのかをより深く理解することができます。時にはストレスや体調不良のサインとなる可能性もありますが、基本的には安心や信頼の証です。愛猫のふみふみの理由を理解し、その気持ちに寄り添うことは、お互いの絆をさらに強く、温かいものにしてくれるでしょう。

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